高知東クリニック

脳外科・内科 高知東クリニック│高知県南国市篠原161番4

医療コラム

2018年5月

一過性全健忘

一過性全健忘とは、数時間の記憶が全くなくなる病態で、通常、50~70歳の人に起こります。多くは原因不明で、てんかん発作、片頭痛、側頭葉への一時的な脳血流低下、薬剤、心理的要因などがいわれてきました。

突然、新しい記憶ができなくなり、その後の行動や出来事が覚えられなくなります。不安になり、同じ質問や言い回しを繰り返し、時間や場所についての混乱が見られることもありますが、周りの人の認識は通常できます。発症前の出来事を一部忘れることもあります。この記憶障害の持続の大半は数時間で、24時間以内には回復します。この間に失われた記憶は一生戻らないことも多く、多くの方が生涯に一度しか発症しません。

画像検査では異常なしか、血流低下例では脳磁気共鳴画像装置(MRI)検査拡散強調画像で海馬近傍に時間が経過してから異常が検出される報告が増えています。治療は不要とされていましたが、てんかんなどが考えにくい急性期の例では血流改善剤を使用した報告もあり、専門の医師への受診をお勧めします。

 

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