2020年3月
脳外科の医師がまれに経験する内頸動脈(けいどうみゃく)海綿静脈洞瘻(ろう)は、脳の主な動脈である内頸動脈と脳の底にある静脈集合体である海綿静脈洞に、本来はない動脈から静脈へのダイレクト血流が形成された状態です。動脈から目への血流が、静脈圧が高くなり過ぎるためうまく静脈に戻れず、片方の目関連に症状が出ます。 頭部外傷や内頸動脈瘤(どうみゃくりゅう)の海綿静脈洞内への破裂などが原因として挙げられます。
特徴として①拍動性に片側の眼球が突出 ②結膜充血浮腫(白目が赤くなり腫れる) ③診察で頭部の雑音を聴取(本人は耳鳴りと感じている場合も)④物が二重に見えるなどです。①~④全てがそろっていない場合もあります。病状が軽度でダイレクト血流量が少ないと、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)では診断が難しいケースもあるので、症状と問診からこの病気を疑うことが大切です。
通常は脳血管撮影による確定診断が可能で、血管内治療(塞栓(そくせん)術)でダイレクト血流を閉鎖、もしくは放射線治療を行いますが、まれに自然治癒もあるようです。
© KOCHI EAST CLINIC. All Rights Reserved.