2020年11月
意識を失う状態は特に一過性の場合、失神発作とも呼ばれ、医学的にまれな病態ではありません。救急搬送や外来相談もよくあります。
大抵の方が脳に原因があると考えるようですが、脳病変が主原因とは限りません。もちろん、てんかん発作を含む脳病変は、意識障害の原因になり得るので頭部の磁気共鳴画像撮影(MRI)や磁気共鳴血管撮影(MRA)、脳波らの検査は有用です。また心臓病で脳に血流が届かない場合や、肺病変で血液の酸素化が不十分な場合も想定し、一般心電図、24時間心電図、心臓エコー検査、胸部エックス線、胸部のコンピューター断層撮影(CT)らが行われます。貧血や血糖、肝障害らの評価で血液検査も必須です。
このように意識消失では、本来多くの検査を要します。救急搬入のケースでは理解が得やすいのですが、一般診療ではかなり高額になるため、説明段階で検査拒否される場合もあり、十分な意思疎通が必要です。一通り検査しても、すぐに原因が確定できないことも多く、他病院と連携した粘り強い後追い検査を要する場合があります。
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